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HIDAプロジェクトの背景・足跡

 

 

2003年の秋、エンツォ・マーリを迎えた講演会が岐阜県高山市で開催された。その講演を聴いた飛騨産業の社長である岡田贊三は、彼独自のデザイン哲学に深く共鳴し、飛騨の地から世界に向けて発信できるような、杉材を用いた家具製作共同プロジェクトの提案を彼に持ち掛け、このプロジェクトはスタートした。

杉は日本固有の針葉樹である。第二次世界大戦後、戦禍により荒廃した地域に迅速に植林する必要性に迫られ、政府は大規模な杉の植林事業を行った。しかしながら現在、杉はあまりにも数が増えすぎて、日本の森林にとって深刻な問題となっており、家具に杉を使用することで数を減らすことができれば、それは非常に望ましいことなのである。

その杉材は、家具製造に特に適しているというわけではなく、むしろ材質が非常に柔らかく節の目立つことが特徴である。その柔らかいという弱点は、飛騨産業の技術スタッフによって克服された。地元企業や岐阜大学の貢献もあり、ブナ材と同レベルの硬性を得られるような、特殊な圧縮方法を確立したのである。

節に関しては、マーリと岡田の確信は最初から揺るがなかった。節は杉に備わる自然の特徴なのだから、そのままの姿が尊重されるべきであると。
さらにこう付け加えられる。消費社会の批判にひっきりなしに追い立てられる近年の西洋産業界が、労働者の権利尊重や、環境保護を考慮した生産規定の導入などの美徳行為を立証するために競って「証明書」をひけらかすことを覚えたことは、恐らく間違いなのではないだろうか?杉を活かすことが人々の生活にとって倫理的に正しいアクションであるならば、この杉に備わる「節」にこそ正真正銘の「選り抜きのブランド」に値する価値があるのではないだろうか?

今、エンツォ・マーリの目に映っているのは、「欲しくなるように仕向けられたもの」と「ほんとうに欲しいもの」を見分ける批判精神や手段をあまりにも従順に失ってしまったような集団性である。このプロジェクトを通して、マーリはそんな集団性に対し力強く異議を唱え、警告を発するのだ。

2005年4月ミラノで開催された展覧会プレスリリースより抜粋

 

 

HIDAプロジェクト これまでの主な足跡
2003 Enzo MariとのHIDAプロジェクト スタート
2005/4 ミラノサローネ家具国際見本市/トリエンナーレ(イタリア・ミラノ)にて、
HIDA発表展覧会
「エンツォ・マーリが取り組む100万の1万倍もの日本の杉の木」展 開催
2005/7 スパイラルガーデン(東京・青山)にて、巡回展 開催
2005/10 WEBでのHIDAアイテム先行販売スタート 2006/2 表参道ヒルズ(東京・表参道)に、HIDA初となるフラッグシップショップ オープン
2007/5 ICFF(International Contemporary Furniture Fair) 2007 出展
クラフツマンシップ賞(ICFF 2007 Editors Awards for Craftsmanship) 受賞
2007/2 木づかい運動 農林水産大臣感謝状(中小規模の部) 授与
  (※飛騨産業株式会社)
2008/5 ICFF 2008 出展
2008/10 マテリアルヴァリエーション(杉以外のウォルナット・オーク)の展開をスタート
2008/10 「Enzo Mari, 仕事の風景」 開催
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表彰などの詳細

 

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